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チョコレート革命
・BL小説
・本編とは関係ない番外編
庵が入院して1日目がたった。
病院に泊まり、目が覚めると目の前には白い天上が見え
そしてベットの横に座っている庵の姿が見えた
最初は「あれ、俺がいる?」と思っていたが
俺が起きた事に気がついた庵が笑いながら
「おはよう、楓さん」
そう言った瞬間に頭の中の眠気が吹き飛び、俺はベットから飛び起きた。
「い、いいいい・・・庵!!!」
「あはは、俺も起きた瞬間に驚きましたよ」
俺は庵の髪や顔や体にさわった
「感触がある・・・夢じゃなくて、本当に・・・・」
「はい、元に戻りましたよ」
そう言われた瞬間、体から力が抜けた
安心して気が抜けたんだ
この入れ替わりの状態が続けば、庵と一緒にいる時間が増えるだろう
けれど、庵に俺の人生を歩ませるのは余りの酷だと思ってもいた。
友人のいない閉鎖的な学園生活
不躾な視線の付きまとう日常
これでは、今までの庵の人生が全て狂い壊れる
「よかった、戻ったんだ」
安心から自然とその言葉がでてきた
「俺も安心しました。あのままずっと楓さんが
ベットの上で寝てるなんて事がなくて、よかった」
庵の顔が安心した気の抜けた顔をしていた。
俺は初めてそんな庵の顔を見ることができて
「おーい、楓。ボーケーとしてないで帰らなくていいのか?」
俺が幸せメモリーに浸っているというのに、邪魔するとは・・・・・栄治のくせに
「帰るに決まってるだろ」
― ガタリ
俺は鞄と白でデザインされたシンプルな袋を手にとって立ち上がった。
「だよな~早く庵君が待つ病院に行って、その袋を渡したいもんな~」
「あぁ、そうだよ。お前と話す労力を歩く速さに加えたいくらいにな!」
「あはは、でた!庵馬鹿!」
「・・・・お前、黙って何処かに消えろ。
庵に迷惑かけたから、他にも買って行く予定なんだからな!」
俺はどんどん廊下を歩く速さを早めているので軽く走っている状態だが
それでも、まだ・・・・栄治は話しかけてくる
廊下の中央にある階段を早足で駆け下りる
もちろん、俺の横にいる栄治もだ
「何、迷惑って?あの入れ替わったこと?」
「・・・・・庵に学校に行かせるべきじゃなかった」
俺の学校生活の事を考えれば行かせるべきじゃなかった。
なのに・・・・俺は、庵に少しでも自分の事を知ってほしいと思ってしまって
「庵は入れ替わって『良かった』って言っていたけど」
―― ・・・・え?
俺は足を止めて栄治を見た。
「良かったって・・・・何で・・・・」
この学校で良かったことなんて無かったはずだ
栄治は俺の顔を見てニコリと笑ってみせる
「庵君ってさーお前が心配するのがわかる位に純粋なんだよなー
真面目って言うか・・・・んー生真面目か?
見た目と中身のギャップがありすぎて吃驚したけどな、可愛い子だよな」
―― ムカッ!!!
庵が可愛いなんてそんな事判ってるけど・・・・俺以外の人間もそう思っている事が
トテツモナク キニクワナイ
「・・・・・お前。俺にライバル宣言でもするきか?」
栄治を無表情で視線だけで見ると、手を左右に振り違うと示す。
「いやいや、全然!」
「・・・・・じゃ、何がいいたい」
「庵君が言っていたんだよ
『・・・・・楓さんは楽しそうですか?』 って」
「・・・・・・」
「あいつ、楓が独りだってわかって悲しそうだったよ」
俺の顔は自然と床に向いた。栄治の顔を見ながら聞けなかった。
・・・・・何を聞いたのか、不安で
「んー、庵君が昔の過去話してくれてさー・・・・
楓が庵を待っていてずぶ濡れになったときに、
庵君が『もう、迎えに来なくても大丈夫ですよ』って言ったら
楓は『それだけはきけない』って言ったって」
あの日は中に入れば良かったと思う
濡れた俺を見つけた庵の焦りようが今でも脳裏に焼き付いている
「・・・・それで、庵は何て言っていたの?」
「んー、自分みたいな何処にでもいる学生で髪赤いし喧嘩っぱやいし
こんな奴ほっとけばいいのにって・・・けどさ、その後に庵君言ったんだよ」
―― ・・・・けど、その考えが変だったんですね
―― 楓さんも 何処にでもいる学生の一人 なんですよ
「楓、お前を 何処にでもいる学生 として見れる奴がいるなんて
俺は想像できなかったし、思いもしなかった」
「・・・・・・・」
『今、こんな風に俺と楓さんが入れ替わったのは幸か不幸かわかりませんが、
俺の学校には馬鹿なワンコが二匹と煩い子猫が一匹います。
世話のやける奴らですが、一緒いたら楽しいし落ち着けます。
楓さんがそいつらといて、学校生活を楽しめたらいいなーって思うんです。
今まで気づいて上げられなかった分、学校外であの人が本当に笑えたら
俺は・・・・・嬉しいなって思います』
「これが、俺が聞いた庵の想いだよ」
「・・・・・・そう」
「なぁ、これを聞いても庵にわびを入れないといけないと思うか?
俺はその袋だけでも十分アイツは喜ぶと思うけどな、楓はどう思う?」
「・・・・・・・・持っていけば、庵は気を使うだろうな」
「んじゃ、そのまま病院に行っちまいなよ!」
そういうと、俺は背中を栄治に押されて学校を後にした。
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「庵、今度からさっさと病院いけよな~」
「分かってるよ、二度まで言うな」
「いいや!お前のことだから、気が変わる」
「・・・・・・・・勘ぐりすぎだ」
そう言って、江田と俺の見舞いに来た樹は俺の顔を覗き込んでくる
今、ここで目を反らせば負ける様な気がして目が反らせない
「ねぇ、今日ってまだ楓先輩は来てないの?」
樹の後ろで突っ立て入る江田が俺に話しかけてきた。
「あぁ、まだ来てないけど。何?」
「いや、まだ来てないんだなーと思ってさ」
そういうと、江田はまた俺の身の回りに視線を巡らせる
―― 何なんだ一体・・・・・
「用がないなら、二人とも帰れよ。俺は寝たいんだ」
「なにーーー!折角来てやったのに何だよ!」
「いいじゃん、帰ってあげるよ、庵さん」
『・・・・・・・へ?』
珍しく俺と庵の言葉が合さった。
俺は江田がこうもあっさりと引いたのが信じられなかった。
どうやら、樹も同じ心情らしく開いた口が塞がらない。
「ほら、さっさと帰るよ。んじゃね~」
江田は戸惑う樹を引っ張りながら病室から出て行った。
「・・・・・何だっていうんだ?」
俺は疑問に思ってカレンダーを見た。
今日は2月14日。
「バレンタインデー・・・・」
そういえば、楓さんと約束した日だったな
二人は俺が約束していた事を知っていて帰った?
「だけど、江田のあのあっさりした態度が・・・・なんか不気味だな」
俺はあまり其処に触れないようにして、考えることをやめて
ベットに身を沈めた。
―― ガラリ
病室のドアの開く音がする
俺は視線だけ相手に向けた
どうせ、樹が忘れ物でもしてとりに来たんだろうと思ったからな
けど、ドアの前に立っている人物は予想していた人とは違った
「庵、怪我はどうかな?」
「・・・・・・楓さん」
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ドアを閉めて、俺はベットの近くにある椅子に腰掛けた。
「今から寝るところだった?」
俺がそう聞くと庵は、体を起こして俺を見た。
「あ、いえ・・・・・」
「庵、実は渡したい物があるんだけど」
「・・・・え?」
あー心臓がバクバクしている
俺は掴んでいた白い袋を庵に渡した
「その、あのね・・・・ち、チョコレート・・・・つく、作ったんだ!」
あぁ~俺、ちゃんとした言葉で話せよ~!!!
俺が差し出した袋を庵は驚いた表情をした後に優しく微笑んで受け取ってくれた。
「ありがとうございます・・・・」
「あ、その、ちょっと不恰好だけど、味は美味しいと思うからさ・・・・」
「はい、大事に食べますね」
「・・・・うん//////」
庵はそういって、また嬉しそうにチョコが入った箱を見ていた。
その瞬間、昨日頑張って作って良かったなーとほっとした。
「楓さん」
「ん、何?」
「ホワイトデー、お返しは何がいいですか?」
―― ・・・・・・お返し?
「え、庵・・・・庵が俺にくれるの?」
「あ、はい。あまり高い物が無理ですけど、何か希望はありますか?」
「い、いや・・・・希望・・なんて・・・・・」
心臓の音がさっきの倍、脈打つ早さが加速しいる
そして緊張や混乱の所為か顔が熱くなっていくのを感じる
うわわわわ、どうしよう!どうしよう!!!
嬉しすぎる、庵が俺にくれるの!
何が良いって、もうーーーーーーーーーーーーーーー!!!!
庵がくれるんだったら、何でも良い!
何でも嬉しいよ/////
あぁ、もう嬉しくて涙がでそうだ!
「な・・・・、なんでもいいよ」
「え、でも・・・・何かリクエストとかありませんか?」
「・・・えっと」
「んー、まだ1ヶ月ありますし、その前までに何かあったら言って下さいね」
「・・・・うん」
そう言って庵がまた俺に笑いかけてくれた。
―― どうしよう、幸せすぎるーーーーーーーー!!!!
「楓さん、中身見てもいいですか?」
「うん、いいよ!」
庵は袋から箱を取り出して、包装を外し箱を開けた。
「・・・・・・カメラの形のチョコ」
「うん、庵。写真好きだからさ、型崩れしたけど頑張ってみました/////」
「・・・・・・・・」
庵はチョコをみたまま固まっている
―― あれ、もしかして 引かれている・・・・・・
カメラの形なんかにして庵にドン引きされてる・・・もしかして?
「・・・楓さん」
―― ドクドクドクドク・・・・
心中穏やかでないけれど、俺は庵に冷静を装って見せた
「どうかしたかな?」
「・・・・ありがとうございます。俺、普通の形のチョコだと思っていたので
驚いたのもあったけと、好きなカメラの形のチョコが貰えるなんて
本当に嬉しい。・・・・・ありがとう、楓さん」
―― ドキッ!!!
そう言って、庵は花が咲いたようにふわりと綺麗に笑った。
今まで、いろんな庵の笑顔を垣間見たことがあったけど
こんなに嬉しそうで無邪気で色気のある笑顔は
初めてで・・・・・
―― うわぁ・・・・・っ!!!!
心臓をわし掴みにされた
この瞬間、俺はまた
新田庵に惚れてしまったんだと思う
「楓さん。俺、ホワイトデー頑張りますね!」
「・・・う、うん//////」
顔がまともに見られない
どうしよう、顔が熱いし、なんか頭に血が上っている感覚がする
けど、それでも見たい
庵の笑顔を見たいけど
今、見たら心臓があの笑顔に耐えられなくて止まってしまいそう
けど、もう二度と拝めないかもしれないし!!!!
そんな葛藤をしている中、庵は俺に話しかけてくる
「これを見ていると、昨日聞いた言葉が本当なんだと実感しました。
俺が『ただの他校の後輩』って言ったら楓さんは俺を『特別』だと
言ってくれました。今日、一人で病院にいたらなんだか昨日の事が
夢だったんじゃないかと思ってきて、ちょっと不安だったんです。
けど、このチョコレート見ていて嘘じゃないんだって思えて嬉しい」
―― 昨日、俺って何て言ったっけ・・・・
『違うよ、庵は別格なんだよ。庵はね、俺の特別だよ』
―― あれ?・・・・もしかして俺、勢いついて
告白しちゃった!!!!
「・・・・・庵?」
―― もしかして、庵。俺の気持ちに、気づいた?
「楓さんと俺って、ただの先輩と後輩じゃなくて」
―― 先輩、後輩じゃなくて・・・・!!!
「年の差なんて関係ない」
―― 関係ない
「友達なんですね!俺、嬉しいです!!!」
―― と、友達?恋人じゃなくって!!!
「え、庵・・・・その解釈って何処から」
俺が慌てて、何とか訂正しようと思ったが庵が行き成り焦りだして
俺に謝ってきた
「す、すみません!もしかして、俺の勘違いでしたか!
これ、友情チョコなんだと・・・・・」
―― 友情・・・チョコ・・・・・
俺は肩の力抜けた
脱力状態です
訂正したかったけど庵の悲しそうな顔を見ていたら
そんな事切り出せなくなって・・・・
「ううん・・・・それは『友情』チョコだよ」
って言ってしまった。
庵がそれを聞くと
安心した顔をする
「・・・・よかった」
言った後に後悔したけど、庵の嬉しそうな安心した顔を見ていたら
チョコをあげた理由なんてどうでもよくなった
自分の気持ちの半分も伝わらなかったけど
先輩から友達に格上げになったんだし今回はこれで良かったんだろう
だって俺は
庵が喜んでくれればいいんだから
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後日聞いたことだが
俺を痛めつけた三馬鹿は
栄治によって片付けられていたらしい
END
お疲れ様です。
ここまで読んでくれてありがとう!!!
無駄に長く、誤字脱字が多々ありましたが、最後まで
付き合って頂けて嬉しいです!(ペコリ)
本編の方も頑張って創作していきたいと思います!