トラブルメーカー番外編・１

トラブルメーカー本編とはあんまり関係ない話です。

トラブルメーカー番外編・１

知っているのだろうか、信也は
いや、知るわけないか
俺がお前に惚れ始めていることなんて
言っていないものな
最初はただの興味範囲からだった
だけど、知れば知るほどお前にのめり込んでいく自分がいた

「志乃さま」

「なんだ、銀狼？」

「いえ、なんだかこの頃、ご機嫌が悪い様で」

「いつも、同じ顔をしていると思うが」

「いえ、眉間にしわが・・・」

俺はそれを言われて、こみかみを抑えた。
モニターには信也の姿がうつっている。
邪魔な奴らと共に・・・

「信也さま、きょうは何をなさるんですか？」
「蒼、頼むから落ち着いてくれ、俺がお前の付き人に呪い殺される」
「はい？」

「信也さま、そんな事僕等がする訳ないじゃないですか」
「そうですよ、姫が懐いていてイライラしている訳じゃないんですから」

「いや、そのままだろう。心のままに、お前らは行動しているぞ！
　その手に持っている、小型ナイフとかはなんだよ！
　俺はお前らを傍に置く気はないんだからさ、自由になれよ」

信也が毎回言う言葉だ
確かにこいつ等はもう自由だ
だけど

「僕は信也さまの加護がないと、自由に慣れないのを知らないのですか？」
「へ？」
「なんで、僕等が隔離されていると思っているんです。
　学園にとって、有益でもあり不利益だからこその対応なんですよ？」

そうだった、こいつら殺人とか暗殺とかなんか後ろめたい事が得意だった！

「分かったよ。なら、お前らを俺は知り合いってレベルで」
「駄目です！僕は水木蒼は信也さまの臣下になりたいんです！一生ついてきます！」
「いやいや、なんだ！その戦国時代みたいなのりは！」

『今、姫は戦国時代のアニメに嵌まっております。信也さま』
耳元でこっそりと、京にそう言われて、信也は肩を落とした。

こいつ等、番人はずっと隔離されていて外に出れなかったんだよな。
どんな生活を送っていたか知らないけど、楽しめているならいいか。

「蒼は純粋すぎて、困るわ」
「綺麗なのは信也さまです。お兄様のために、高校に通う学費をためたいとか
　美しい兄弟愛で、僕は感動しています！」
「はははは、ありがとう。蒼」
信也は苦笑して、空を仰いだ。

兄は今頃、何をしているのだろうか

志乃の兄とは上手くやっているのだろうか？

―――――ザぁあああああああああああ――――――――――

雨の音が降ってもいないのに、心に鳴り響く

俺はあの日から止まったままだ

あの光景が忘れられなかった

あの裏切り

一生忘れはしないのだろう

もう、本人は覚えてないんていないだろうな
いいさ
俺が覚えていれば
嫌でも、思い出す時が来る

その時が地獄の業火にお前が焼かれるときだよ

「信也さま？」

「ん、なに？」
「いえ、何でもありません。ただ、なんだか信也さまが遠くに行ってしまいそうで」
「俺が一体、何処に行くんだよ」
「そ、そうですよね。信也さまは今は志乃さまのパートナーですものね」

「そうそう、まぁ仮のパートナーだけどな」

「いえ、志乃さまのパートナーは信也さま以外おりません！」
「なんで、そんな熱く語るんだ。蒼は、前まではあんなに毛嫌いしてたのに」
「今もあんな奴嫌いです」
「なら、どうした風の吹き回しだ？」

「あの方も信也さまと同じ臭いがするからです」

「は？」

俺と志乃が同じ？

「あっちは権力の名の元に生きている生徒会長。こっちは一般人だぞ？
　蒼はなにを言っているんだよ」

「だけど、同じ臭いがします」

「・・・・・・」

―――――ピーンポーンパーン

『仁科信也さま、志乃さまがお呼びです。生徒会室までお越しください』
『仁科信也さま、志乃さまがお呼びです。生徒会室までお越しください』

「なんだ、放送で信也さまを呼び出し何て、あの自己中悪魔め」
「志乃は生徒会長だから、目立つからこうした方が俺的には助かるわ」
「信也さまのなんと心の広いことでしょうか！僕はまたあなたの臣下でよかったです！」
「え！まだ、そこ続いていたの！」

 

 

「志乃さま」
「なんだ、銀狼」

「いえ、なんだか嬉しそうですね」

「そうか？」

「はい」

信也もいつか気づけばいいのに
俺とお前が同じ穴のムジナと言う事を

「まぁ、いいさ。一生、離してやる気はないからな」

気付こうが、気付くまいが、お前は俺のものだよ

仁科信也