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日々の足跡
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チョコレート革命

・本編とはなんの関係もない番外編

・バレンタイン小説 (楓視点)


切れ長で真っ直ぐ見つめる目
小さな笑みをこぼす唇
風で舞い散る赤い髪

君の全てに俺はいつも釘付けだった

「2月14日ですか?」
「うん、暇かな?」
俺達二人は学校帰りによったマックで団欒していた。
チラチラと回りが見てくるが、そんなの無視だ。
庵の顔がキョトンとした驚いた顔から、小さな笑みをこぼす
「何もありませんけど、行き成りどうしたんですか?」
「えっと、いや~・・・その日も一緒に帰らないかな~って思って」
俺は慌てて誤魔化しの言い訳を話した。本当のことなんて恥ずかしくていえない。
言えたとしても緊張しちゃって言葉に出せるかどうか・・・・
オロオロとうろたえている俺を庵はクスリと笑った。
俺はその浮かべる笑みに毎回心臓をドキドキさせている。
「別に構いませんけど、楓さんはいいんですか?」
「・・・・・え?」
「楓さんの想い人に渡すとか。楓さんなら行く手数多。
 その日にも、たくさんの人に呼び出されるんじゃないんですか?」
庵の優しい笑顔に少し困った顔が含まれている
そんな顔に俺は・・・・
「・・・・・いや、そんな・・・事はないよ」
「そうなんですか?・・・・うーん、楓さんがいいんであればいいですけど」

庵が俺を恋愛対象と見ていないのは知ってる
庵はホモやゲイは嫌いで
ましてや
男なのに他の男にチヤホヤされている人間は嫌いなのだ

―――― 胸がズキズキと痛い

今、こんな風に庵と話せている
庵が自分だけに笑ってくれる
この状況だけでも幸せなはずなのに
庵との距離をもっと縮めたくなる 
もっと傍によりたくなる
そして、庵を捕まえて自分だけの物にしたい

バレンタインデーに会う約束ができたんだからいいじゃないかと
自分に言いきかせるがやっぱり、その日に会うんだからチョコも渡したい
義理チョコだと思われてでもいいから渡せたらいい
14日まで後、3日。
今の俺はそれまでにどんなチョコを庵に渡すか考えないと!
こりすぎても手を抜きすぎてもだめ ほどほど加減の物を作らないと!

俺がそう考えに耽っていると
いつの間にか、庵の学校の前に立っていた。
人が疎らに通る門の前に俺は立って庵を待つ
此処がいつもの庵を待っている指定の位置
此処だと、どの教室からも見えて庵にもスグに見つけて貰える
俺は門を背に校舎を見ていた

庵、まだかな~v

校舎から視線を外して、回りを観察していると
校舎の横手にある植木の方に赤いものが揺れたのが見えた。
それはよく見ると、赤いハンカチ
それが背の低い木にひっかかっていたのだ。
誰かの忘れ物?いや、落し物か?
楓はそのひっかかっているハンカチをとると、汚れを払ってポケットにしまった。
後で庵と一緒に学生課に行って落し物を渡そう。
楓は門の方に戻ろうとしたが、裏庭に見慣れた赤い髪の少年がたっていた。

「庵!!!」

楓がその名を呼ぶと、大きな大木の下に立っていた男は楓に視線を向けた。
「あれ、楓さん。今日も迎えに来てくれたんですか?」
「あ、うん」
楓はそう返事をすると慌てて庵に近づいた。

一瞬心臓が止まるかと思うくらい怖かった

ただ、木の下に立ってその木を見つめている庵が
そのまま消えてしまうのではないかという不安に、胸がざわついた

この目と鼻の距離でさえ何故か怖くて仕方がなく
少しでも早く距離を縮めたくて、歩く早さがあがる
だが、楓は庵ばかり見ていて足元にある小さな穴に気付かなかった
楓が気付いたときにはもう体勢は崩れて、土の上に倒れそうになる

「!!!!!!」

「っ、楓さん!!!」

なんとか庵に抱きこまれた楓だが、庵も勢いに負けて地面に転倒。
もちろん、庵に抱き込まれた楓も一緒に


――――――   ドサドサッ!!!!!


楓は瞑っていた目を慌ててあけて、庵から退こうとしたが
何故か体の上に重みがあって動けない

「・・・・・へ?」

あれ、確か庵が俺を助けようとして俺を抱きしめて・・・・ん?
・・・・・・俺がいつ、下になったんだ?
楓は上に乗っている人物を庵だと思い肩をゆすった。

「庵、起き・・・て・・・・・」


なんか・・・・

なんかさ・・・・・・



自分の声が可笑しくないか?



幻聴か頭を打った所為か、自分の話してる声が庵の声とそっくりなような・・・・・

「・・・・っ、楓さん大丈夫ですか?」
俺の上に乗っていた男が体を起こして、俺を見下ろしてきた
その光景に俺は唖然とする。

・・・・・・・なんで、俺が俺の上にのってるんだ?

目の前の俺は唖然とした顔をして見下ろしてくる。

「・・・・楓さ・・・・・・ん?」

「・・・・庵・・?」

『なんで、俺が目の前にいるんだぁあ!!!!』

俺達二人分の叫びは大きな空に吸い込まれていった。


どうやら俺達、中が入れ替わってしまったようです。
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