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日々の足跡
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チョコレート革命

・庵&楓のチェンジもの(BL小説)
・本編とは関係のない番外編
・何気に序章が1番始めになります。

目の前の俺が庵で、俺が庵だけど俺でぇ~~~~
えーっと様は、ぶつかった所為で俺と庵が入れ替わっちゃったって事か!!!

「ありえない、何がどうなって・・・・」
俺は自分の手をマジマシとみる。
自分のと比べて大きな手、先程まで着ていた制服と違う色。
そして、何よりは・・・・

――― 髪の毛が真っ赤だよ!!!

これで俺が庵だというのが断定。
目の前の俺の外見をした庵は難しそうな顔をして下を見ていた。
「・・・・庵。何処か痛いの?」
俺がそう問いかけると、庵は俺に視線を向けてニコリと笑ったが、
何故かその笑みを見て無性に抱きしめたくなった
「・・・・・楓・・・さん?」
「ごめん。なんか、ほっとしただけ」
木の下にいただけで人が消えるわけなんてないけど、自分が今この手に抱きしめているのが
庵なんだと確かめたくて、抱きしめていた手を頬に移してじっと顔を見つめた。
俺の顔だけど、その困った表情はまさに庵のもので、それを見てやっと安心した。

――― ズキッ!!!

・・・・あれ、なんか左の脇腹がズキズキと痛い。
自分の手で痛い部分を触るとその部分には包帯が巻かれている感触がする。
制服をめくりあげると、微かに赤く滲んでいて痛々しかった。

――― こんなもの、いつの間に・・・・・・

「あ、痛いですか・・・楓さん」
「・・・・庵、この傷って?」
自分の顔が苦笑をこぼして話し出す。
「ちょっと昨日、一人で外を歩いていたら他の学校の奴らに絡まれまして、
 俺の外見が外見なだけに目をつけられ易いみたいなんですよね」
「っ・・・・!!!」
俺は庵の手(俺の手)を掴んだ。
「もう、庵帰るよね?」
「・・・・え、はい」
俺は回りに落ちている、庵と自分の鞄を掴み学校の敷地内をでた。
俺に手を握られたままの庵は、俺に声をかけたいみたいだが
こんな公衆の面前で「楓さん」とは呼べないのだろう
俺を見ているだけで何も言ってこなかった

俺達は近い駅から電車に乗った。向かう先は俺の家。
現在一人暮らしの俺は、こんな困った状況の時には好都合の住まいになっている。
庵はずっと黙ったまま、困った顔で俺を見ている。
わかってるよ。何処に行くのか不安なんだよね。
わかってるけど、今イライラしている自分が何を話し出すのかが怖かった。
俺は、庵の体が傷ついていることからか椅子に座らされた。
庵は俺の前の電車の手すりに捕まり立っているが

・・・・・少し様子が変だ。

何故か後ろの方を気にしている。
満員なのだから、誰かがぶつかっ・・・・・・・

現在の庵は俺の外見だ

いつも、俺が電車に乗ったときのパターンとしては

俺は座っていた席から立ち上がって、自分の体を席に座らせて、後ろを睨んだ。
後ろにいた男はやはり鞄を足ではさみ、両手が自由な状態だった。
「・・・・・あんた、今・・・何していた?」
俺がそれを一言言うと、男は開いた電車のドアから駅のホームに走っていった。

――― やっぱりかぁ!!!!

あの、あの人間が庵に痴漢していたのだ!(自分の体ですが)
何処触られたんだ!太もも、脇腹・・・尻?
あいつぅーーーーーー!!!睨むだけじゃなくて、足の一つも蹴り上げで腹に拳の一つでも
メリこませておけばよかったぁあああああ!!!!
だけど、そんな事したら被害は庵にいってしまう!しかも怪我してるから体に響くし!!!

俺は自分を落ち着けるために深呼吸して、男の方を見たあとに
庵に視線を向ける。庵は吃驚した顔で俺を見ていた。
庵の両側に座っていた人も突然の出来事に吃驚し、そして突然自分の隣に綺麗な少年が座ったので
携帯や本を見ながらも横目でチラチラ見ている。
その態度がいよ~にイライラと苛立ちを再発させようとするが、そんな事よりも・・・・
俺は電車の発車の合図がなったので、手すりを掴んだ。
「・・・・えっと、か・・・庵さ・・ん?」
あ、そっちの名で呼んじゃったか
俺は柔らかな笑みを庵に向ける。

何故か

両側に座っている奴まで顔を赤めていた

庵の外見がカッコいいのはわかってるけど、

他人が庵と見て頬を染めるのはムカツク

・・・・・が、この際無視だ!

「楓、ごめんね。気付くのが遅くなっちゃって」
「・・・・あ、いや、それは」
庵のことだから、俺のことを心配したんだろう
傷ついた体のままの俺を気にして、痴漢ぐらいで騒がないでおこうと
庵の優しさは嬉しい 俺のことを気にしてくれてるってことだから

でも、その優しさが今はとてもツライ

庵と俺の間に
見えない壁ができてるみたいで・・・・

もっと俺に頼って甘えてほしい

まだ会ったばかりで間もないけれど、俺は君に必要とされたい
何時 何処でも どんな時でも
俺は君が呼ぶんだったら駆けつけちゃうのに・・・・

駅が目的地についたので俺と庵は電車を降りて、自分の住まいに向かった。

----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------

―――― ガタン ガタン ガタタタン

地面の下から電車の通る音が聞こえてきた。

俺は生まれて初めて、痴漢・・・というものに遭遇した。
あれはもう、精神的虐待だ。気持悪いってものじゃない、一瞬体から血の気引くほどの恐怖が漂う。
俺の外見ではないのは分っていたが、まさか電車の中でこんな目にあってしまうとは
・・・・しかも、楓さんはそれに気付いていた

多分、楓さんは電車に乗ると高い確率で痴漢にあっていたのだろう

彼の外見は本当に整っている
入れ替わった俺は、学校から出た瞬間に皆の不躾な視線にさらされた
いつもは好奇心や憎悪などに近い目で見られがちだったが、
今回は違う目で見られている事に戸惑いを隠せなかった

好機の目で見るもの
頬を染めて立ち尽くす人
そして、欲の対象としてみている人間

俺は前方を歩いてる自分の姿に目を向けた。
目立つ赤髪、緑の指定制服。まさしく俺の外見だが、今は楓さんが中にいる。
待っていた横断歩道の信号が青に変わり、俺達二人はそれをわたった。
結構、大きな駅で下りたので人通りが多くて、歩きにくい。
楓さんはそんな俺に気がついて手を握ってくれる。
「大丈夫、楓?」
「はい、大丈夫です。庵さんの方こそ、体・・・大丈夫ですか?」
「うん、大丈夫だよ。・・・楓こそ大丈夫?」

――― ドキッ!!!

「きつい様なら、もう少しで着くけど店で休む?」
「・・・・あ、いえ、大丈夫です」
「そっか・・・・もうちょっとだから、頑張ってね」

彼はそう言って、俺に優しく笑ってくれる。

『楓さんの方こそ、その体で立っているの辛いでしょ?』

歩くたびに傷が痛んで、俺だったら顔が歪むのに・・・・
あなたはそんな素振りを微塵も感じさせない
そのうえ、俺の方の心配ばっかりして

他の学校の一つ下の後輩

あなたにとっての俺なんてそれくらいの存在

あなたと俺には他に何にも
繋がる関係はないのに

そんな俺にも、あなたは優しい

優しすぎて俺は

怖くなるんだ


駅から歩いて10分したころには、俺の目の前には大きなマンションが建っていた。
マンションの周りはグルリと大きな壁で固められ、入口は横にも長く、縦にも高く、
細かい細工が施されている門がある。
その門からマンションまではレンガで造られた一本道で繋がれ、
その道の両側には横長の庭があった。

「・・・・・・・」

俺はそんな光景を唖然とした顔で見ていた。
そして、背中に冷や汗がでてくる

俺の勘違いだったらいいと何度も思う、その焦りで


―――― もしかして、此処って!!!!


楓先輩が門をくぐって、レンガを踏みながら俺に手招きしている。

「此処の12階が俺の部屋だから。あ、エレベーター付いてるからスグにつくよ」
「・・・・12階、エレベーター、俺の・・・部・・・・屋」

やっぱり此処って、楓さんの住んでるマンション!

しかも、ただのマンションじゃないだろう。
中に入ると、ガラス扉の奥に階段やエレベーターが見えた。
楓さんは自分の部屋のポストを見てから、扉の前にある機械に数字を打ち込む。

・・・・・セキュリティー完備のマンション

楓さんの住む高級マンション

扉が開く音がして俺は慌てて中に入った。すると扉はスグに閉じて、外の世界と遮断される。
体がとっさに動いてしまったけど、入ってしまって良かったんだろうか?
現在、楓の体だということを忘れてしまった庵はフリーズしてしまった。

楓はそんな庵の腕を掴んでエレベータの前に立って、上の矢印のボタンを押す。
「ほら、もう少しだからね。頑張って庵」
どうやら、楓さんは俺が痴漢にあった精神的ダメージの所為でフリーズしたんだと思ったらしい。
「あのー、楓さん此処って」
俺が声に出そうとすると、楓さんの笑顔に遮られた。
「あぁ~、大丈夫。親は来ないし、気ままな一人暮らしだからさ。
 今は俺達、非常事態だからね。気楽に俺の部屋を使ってね。
 あとで庵の家の人に連絡して今日は俺の家に泊まることにしよう。
 怪我の手当ても早くしてしまいたいしねv」

「・・・・・はい」

何故かその有無を言わせない迫力に負けて俺は、頷いてしまった。

今日1日、楓さんの住まいにお泊り。

こんな事が他の奴にばれたら煩くなるんだろうな・・・・・特に、樹が。
そう考えると頭が痛くなってくる

―――――  チ ン ッ !

エレベーターが1階につき、俺と楓さんはそれにのって12階まで上っていった。
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