私は良家に生まれて、不自由ない生活を送ってきた。
どんなものも手にいてれ来た。
だから、手に入らないものなどないのだと思っていたんだ。
「ごめんな、俺。好きなやつがいるんだ」
生まれて初めて人を好きなった。
ほしいとも思った人
だから、俺は自分に偽ることなく事をなした
ガチャリ
扉のノブを回して部屋に入ると、黒髪の短髪の少年がベットから
身を乗り出して窓を見ていた
いつもの光景だった
「何をしているんですか？」
扉を閉めて鍵をかけた。
「・・・・別に外を眺めているだけだ。ショウイは生きてるのか？」
「生きてますよ。今頃、どこぞの村にでも辿り着いてるでしょう」
男は少年の傍によりベットに腰掛け、少年の頬に手をあてこちらを見させた。
「本当か？」
「本当ですよ」
少年は疑いの眼差しを向けている。
「どうして俺がすきなんだ」
「さぁ、わかりません。始めてあった、あの木の下で魅入られてしまったものですから」
少年は自分の下半身に手をつけた。
布団から分かる感触は下に引いてある布の手触りだった。
「・・・・・俺の両足はない。お前が切ったからだ」
「えぇ」
「俺には自由がない、お前がこの部屋に俺を閉じ込めるからだ」
「えぇ、そうですね。」
「そして、俺はお前と約束をしている。逃げない代わりにショウイには手をださないと」
「えぇ、守っていますよ。あなたの大切な妹ですからね」
そいうと、男はにこりと少年に笑って見せた。
整った顔立ちの笑顔は綺麗だったが、少年は悔しそうに唇をかんだ。
その唇からは血が流れている。
男はその血を自分の舌でなめとった。
「・・・・足を切られて、部屋に閉じ込められて自由がない。俺は死んでいるのと一緒だ」
「死んでもらっては困りますね。どんな事であろうとも私から逃げようとしたら
あなたの妹さんはどうなってしまうか、検討がつきませんから」
男は赤い舌で何度も少年の唇をなめて血をふきとった。
鉄の味がするが、その中に甘さもかんじた。
「・・・・・・なんで人質が妹なんだ。ただの家族なのに。俺の好きなやつは他にいるのに」
「いいえ、あなたは嘘をついている」
「・・・・・嘘って」
男は唇で少年の口をふさいだ。
そしてもう一度啄ばんで、唇から離れた。
「あなたは妹なんて思っていない。血が繋がっていても彼女のことがすきなんでしょ？」
「っ！！！！」
少年は目を見開き、男を凝視した。
「知ってますよ。だって、あなたのことは何でもしりたいですからね」
「・・・・・なんでわかった」
「目・・・・ですかね。
あなたが妹を見る目はまるで鏡に映る私に似ていましたから。
妹さんが彼氏や男友達をつれてくると、あなたは平然なフリをしていた。
けど、目だけは憎悪に満ちていましたからね。殺したかったんでしょ、彼らのこと」
「すべて、お見通しってわけか」
「似てますからね。あなたと私は・・・・・」
「似てる？俺はここまで好きだからってしないけどな」
そういうと少年は手首にはめてある鎖を見せ、足のない下半身に目を向けた。
その光景を男はクスリと笑う。
「けど何度も頭の中で彼女のことを体で愛したでしょ。そして周りにいる男を殺した」
「・・・・・・・・」
「傍にいても、いつかは離れていく女。他の男のものになるくらいならいっそう殺そうとも
思ったはずです。あなたはとても嫉妬深いですからね。まぁ、そんなあなたも魅力的ですが」
「・・・・・お前も俺にそんな感情をもつのか？俺を殺したいほど好きなのか？」
「えぇ、思いましたよ。けど、死体を愛でるよりも私はあなたの全てが欲しい。
心さえも誰にも奪われないようになるまで、辛抱強く待つつもりですよ」
「・・・・こんなことするやつを俺が好きになると思ってるのか？」
「今はまだですが、心が少し動いたと思いますよ。私たちは似ている。
そして、あなたをそこまで好きになる人間なんて私以外に存在するとは思いませんからね。
今も、これからも」
「気分が悪くなる愛だな」
「けれど、あなたはそれでも傍に居続けてくれるんでしょ。逃げられないのだから」
「・・・・・・・そうだな」
どさっ
男は少年をベットに寝かせて、微笑みかけ、少年の唇を奪う。
何度も何度も
心の距離を埋めるかのように
少年が逃げないように
「愛しているよ、灯月（ひづき）」
それはまるで呪縛のように
「・・・・・勝手に言ってろ」
それはまるで籠にいる小鳥のように
彼を籠の中に縛り付ける
「愛してる」
